「トゥルプ博士の解剖学講義」

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　アムステルダム画壇において、レンブラントの名を一躍有名にした団体肖像画です。外科医組合長であるトゥルプ博士の解剖講義の様子を描いたもので、そうとうインパクトのある作品です。

　組合会館の記念図の依頼を受けたレンブラントが、その若さにもかかわらず、一人ひとりを個性的に、そして生き生きと描いていることに驚かされます。ある者は博士の手元をじっと覗き込み、ある者はなぜか画面の中からこちらを見つめ、何か言いたそうに身を乗り出しています。
　その場の緊張した雰囲気、同じ博士と弟子の関係であっても、それぞれが微妙に違うらしい心理的結びつき・・・。そうしたものが、迫力と共に伝わってきます。

　この作品を契機として、レンブラントは一躍アムステルダムの人気画家となるわけですが、その外面的な成功とはうらはらに、彼の内側に育っていく真に人間を描くことへの深化は、人々が求める人物画とはかけ離れていったように思います。有名になるということは、レンブラントの場合、自由な創作ができなくなることとイコールだったようです。

★★★★★★★
ハーグ、　マウリッツハイス美術館蔵

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