骨太な、しっかりした顔立ちの、いかにも人格者・・・という印象の男性です。思慮深いまなざしと意志的な口元、ごつごつした大きな手を持つこの人は、 1691年にアムステルダム市長となったヤン・シックスという人物です。
彼は、レンブラントの晩年に至るまでの数少ない理解者の一人だったということで、レンブラントも信頼を寄せていたのでしょう。ゆったりと大らかなタッチで、心をこめて描かれているのがわかります。マントや上着の色使いがどこかマネに似ていて、スッキリ・スマートな印象です。きっと、その人格だけでなく、センスもとても良い人だったのでしょう。
レンブラントがめずらしく、手放しで楽しんで描いているのが感じられます。ヨーロッパ絵画史上、肖像画の最高峰の一つに数えられている作品です。
★★★★★★★
アムステルダム、 シックスコレクション蔵