これこそ、モディリアーニ!・・・と言ってしまいたくなるような作品です。彼独特の、クネクネと長い首、卵形の青白い顔、生気の乏しい青一色の目・・・とにかく細長い、ズボロウスキーの肖像画です。
きちんと組んだ両手、やや斜めにかまえたポーズも、ちょっと間違えれば鼻もちならない、単なるスマした肖像画になってしまうところでしょうに、何度見ても飽きない魅力はどこからくるのでしょうか。この作品には、断崖を危うい足どりで歩むような生き方をしたモディリアーニの持つ、繊細さ、やさしさがあふれているような気がします。
ズボロウスキーはモディリアーニのために、本当に献身的に働いてくれた画商です。それは、まったく最後の最期までそうだったのです。画商であるだけでなく、モディリアーニの死の翌日に自殺した恋人、ジャンヌ・エビュテルヌの埋葬にも参列した数少ない一人であり、モディリアーニを真に理解した友人でもあったと言えると思います。
ズボロウスキーがモディリアーニに初めて会うのが1916年6月で、ポール・ギヨームから、モディリアーニの契約画商になることを受け継いだのです。
しかし、ズボロウスキーはモディリアーニの絵を売ることだけに専念したのではありません。友人たちを紹介し、多くのモデルを世話し、ジョセフ・バラ街にあった自分の一番大きな部屋をアトリエとして提供したりもして、心身ともにモディリアーニを援助し続けました。
そしてもう一つ、モディリアーニにとってありがたかったに違いないのは、ズボロウスキーは、夫妻そろって、その容姿が最も理想的なモデルであったということなのです。
★★★★★★★
サンパウロ美術館蔵