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「桟敷席」

オーギュスト・ルノワール (1874年)

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 桟敷席にすわる男女を描いた風俗画ふうのこの作品は、1874年の第1回印象派展に出品されたもののうちの一作です。

 この作品のモデルは、画家の弟でジャーナリストだったエドモン・ルノワールと、モデルのニニだと言われています。
 ニニはどういうわけか「ブス」というあだ名があったそうですが、エレガントな衣装とは裏腹に、批評家たちは彼女の姿に高級娼婦のイメージを見ていたようです。「頬を白粉で塗りたくり、眼は凡庸な熱っぽいまなざしで光り、蠱惑的で頭は空で、悩ましく愚かな」女に表現されている、と言われました。
 ずいぶん失礼な言い方で、ルノワール自身の意図は別のところにあったのでしょうが、当時の彼は、どうしても単なる風俗画家と見なされていたようです。

 しかし、ここで特筆すべきなのは、二人の衣装に使用された黒です。当時の印象派の画家たちは、「影にも色がある」という主張から、画面を明るくするためになるべく黒を使用しませんでした。
 でも、ルノワールは、必要なときには思い切って黒を使ったのです。と言うより、ルノワールは黒の名手だったと言ってもいいくらいです。この作品でも、ドレスのストライプの大胆な黒が印象的で、非常に洗練された印象となっているのです。

 このように、ルノワールは印象派の成果を充分に生かしながらも、それを超えた独自の境地を拓いていった画家だったことが改めて分かるのです。

★★★★★★★
ロンドン、 コートールド美術研究所蔵



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