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「白テンを抱く婦人像」

レオナルド・ダ・ヴィンチ(1485年ころ)

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 ダ・ヴィンチの生涯を通じて、肖像画は宗教画に匹敵する中心的主題でした。
 この「白テンを抱く婦人像」のモデルは、ルドヴィコ・スフォルツァの愛人チェチリア・ガレラーニであると言われています。白テンがルドヴィコの紋章の一つであったこと、また動物を表すギリシャ語の「ガレン」がチェチリアの姓と音が同じであったことも、その証明であると言われています。
 まだ少女っぽさが残るチェチリアの、まっすぐで利発そうな視線の先には何があるのでしょうか。口を引き結んで注意深く見つめている様子が、非常に清潔な印象です。
 そして、その腕に抱かれている白テンは、いかにも肉食獣・・・という感じで、チェチリアの清冽さに比べ、やけに獰猛で生々しい存在として描かれています。

 この、いかにも頭の良さそうな少女は、果たして幸せだったのか・・と、なぜかとても気になります。この白テンのように自由に、心のままに自然の中を飛び回りたい・・・。そう思っているのではないかと、ひどく気になる作品なのです。そんな彼女の心の動きをも、もしかするとダ・ヴィンチは描いてしまったのかも知れません。

 ダ・ヴィンチにとって絵画の技術は、手先を使うのと同じくらい思索によって磨かれるものでした。肖像画家として、まだ途上にあった彼の心に、チェチリアはまっすぐな問いかけをしてきたのかも知れません。

★★★★★★★
クラコフ、 ツァルトルスキー美術館蔵



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